鶏肉は日常的な食卓でよく用いられる身近な食材ですが、部位によって肉質や味わいには明確な特徴があります。基本的にはどちらの部位も同じように料理の素材として使うことが可能です。
しかし、それぞれの特徴を事前に知っておくことで、用途に合わせたアレンジがしやすくなるでしょう。
本記事では、代表的な部位である鶏もも肉と鶏胸肉における違いや栄養について、詳しく解説していきます。
鶏もも肉と鶏胸肉の違いを部位や肉質から比較

鶏もも肉と鶏胸肉は、鶏の体において位置している場所が異なります。それに伴って、肉質や見た目、食感などにもそれぞれ独自の傾向が見られます。
まずは、鶏もも肉と鶏胸肉の部位の場所や、基本的な肉質の違いについて詳しく解説します。
鶏もも肉の部位と見た目の違い
鶏もも肉は、鶏の脚の付け根の部分にあたり、ももから足にかけて位置している部位を指します。日常的に動かす部分であるため、筋肉が多めになっています。そのため肉質にはやや堅さがあり、しっかりとしたかみごたえを感じられるのが特徴です。
肉の色合いとしては、赤みがかった色をしています。筋肉質で弾力のある身ですが、同時に脂肪分を程よく含んでいるため、鶏肉特有のおいしさやコクがあり、全体的にジューシーな仕上がりになります。新鮮で状態のよい鶏もも肉を選ぶ際は、肉質に弾力とつやがあり、全体的に厚みがあるものを見分けるのがポイントです。
また、最近では通常の飼育法に工夫を加えて育てられた「銘柄鶏」と呼ばれる鶏肉も増えています。種類や産地によって味わいが異なるため、好みに合わせて使い分けることも可能です。
鶏胸肉の部位と見た目の特徴
鶏胸肉は、鶏の胸の上部に位置している部位です。鶏もも肉と比較すると脂肪が少なめであり、肉質は柔らかく、あっさりとした淡泊な味わいを持っています。身の部分は淡いピンク色をしており、厚みとつややかな外観を持つものが新鮮な証拠とされています。
鶏胸肉の皮を取り除くと、ささ身のようにあっさりとするのが特徴です。ただし、脂肪が少ないという性質上、加熱調理をすると身が固くなりやすく、火を通しすぎるとパサつきやすいという側面もあります。火を通しすぎるとパサついてしまうため、鶏胸肉を調理する際には、火加減や加熱時間に注意を払う必要があります。お店などで「皮なし」と表記されて販売されている鶏胸肉は、あらかじめ皮が取り除かれているため、用途に応じて選ぶとよいでしょう。
鶏もも肉と鶏胸肉の栄養素に関する違い

近年、健康面に気を付けている人々の間では、積極的に鶏胸肉を選ぶ傾向が見受けられます。高たんぱくで低脂質な食材というイメージが定着していますが、代表的な栄養素はたんぱく質だけにとどまりません。100gあたりの成分数値を比較しながら、栄養面の違いを解説します。
皮つきと皮なしでの成分比較
100gあたりの数値を皮つきの状態で比較すると、鶏胸肉はエネルギー229kcal、たんぱく質19.5g、脂質17.2gとなっています。対して、皮つきの鶏もも肉は、エネルギー234kcal、たんぱく質17.3g、脂質19.1gです。
一方で、皮を取り除いた皮なしの状態では数値が変化します。皮なしの鶏胸肉はエネルギー113kcal、たんぱく質24.4g、脂質1.9gとなり、皮なしの鶏もも肉はエネルギー128kcal、たんぱく質22.0g、脂質4.8gとなります。皮なしの鶏胸肉は、ささ身のようにあっさりとして低カロリーになるのが特徴です。
これらの数値から読み取れるのは、皮を取り除けば鶏もも肉でも脂質量を大きく抑えることが可能であり、胸肉ともも肉の間でたんぱく質と脂質の量に大きな差がなくなるという事実です。
鶏胸肉に豊富に含まれる特有の成分
鶏胸肉には、イミダゾールペプチドという成分が豊富に含まれていることがわかっています。この成分は疲労の回復に役立つほか、強い抗酸化作用が期待できるとされています。イミダゾールペプチド自体は多くの動物が持っていますが、特に渡り鳥や回遊魚など、季節によって住処を変える生物に豊富に含まれる成分です。私たちが普段口にする身近な食材の中では、鶏胸肉に多く存在しています。
また、たんぱく質の合成に欠かせない成分であるビタミンB6も、鶏もも肉より豊富に含まれています。たんぱく質の合成に関与する成分はほかにも存在しますが、なかでもビタミンB6は、筋たんぱく質の合成に最も貢献する栄養素と言われています。
鶏もも肉に豊富に含まれる特有の成分
鶏もも肉には、うま味成分の一種であるグルタミン酸が含まれています。このグルタミン酸の働きにより、肉そのものに強いうま味とコクが生まれます。うま味成分を豊富に持つという特徴があるため、鶏もも肉は特有のおいしさを提供してくれます。
鶏もも肉と鶏胸肉の調理法や用途の違い

鶏もも肉と鶏胸肉は、それぞれの肉質や含まれる成分が異なるため、向いている調理法や料理のジャンルも変わってきます。それぞれの用途について解説します。
鶏もも肉の活用方法
鶏もも肉は、さまざまな味つけや調理法に向いている万能素材として知られています。そのため、鶏肉の部位のなかでも特によく使われる傾向にあります。グルタミン酸由来の出汁がしっかりと摂れることから、煮物やから揚げなどの和食において好んで使用されます。
なお、最近では通常の飼育方法に工夫を加えて育てられた「銘柄鶏」と呼ばれる鶏肉も増えてきました。種類や産地によっても味わいが変化するため、好みに合わせて使い分けることも可能です。
鶏胸肉の調理ポイント
鶏胸肉は脂肪が少なく、あっさりとしたメニューに仕上げたい場合に適しています。お店では「皮なし」と表記され、あらかじめ皮が取り除かれている商品も販売されているため、用途に応じて選ぶとよいでしょう。
ただし、鶏胸肉は加熱時間によって身が固くなりやすい特徴を持っています。火を通しすぎるとパサついてしまうため、調理の際は火加減や加熱時間に注意を払う必要があり、その点は調理に手間が掛かるデメリットと言えます。
【まとめ】鶏もも肉と鶏胸肉の違いを知って健康的な食生活に役立てましょう

鶏胸肉と鶏もも肉は、皮を取り除いた状態であれば、たんぱく質と脂質の量に大差はありません。鶏胸肉はイミダゾールペプチドやビタミンB6を多く含み、鶏もも肉はグルタミン酸を含んでうま味とコクがあるという点が大きな違いです。栄養面だけを見ると鶏胸肉の方が優位に感じられるかもしれませんが、調理時の扱いやすさなども考慮する必要があります。
健康的な生活を継続するためには、偏りなく色々な種類の食材をバランスよく摂ることが大切です。それぞれの違いを正しく理解し、生活にうまく取り入れてみてください。

